わらべうた程度の重さで口をついて

エッセイと、時々質量140字の文章。

2020-01-01から1年間の記事一覧

神様はフードコートにて

週末のフードコートは、ゆったりとした音楽が流れている。何処かで誰かが歌っていたような気がするのだが、曲名にはとうとう辿り着けなかった。流行りのパンケーキ屋だが、閉店一時間前とあって、客足も疎らである。端の席で、パンケーキをつついている私と…

予防接種と私の進化

心療内科でインフルエンザの予防接種を受けてきた。なんだろう、この一文だけで仄かに香る、牛丼屋で食べるカレーみたいなそれは。新聞を見てもテレビを見ても、コロナコロナなご時世だ、一般の内科にホイホイと足を運ぶのも、何だか考えてしまうのだ。そん…

犬にも猫にもなれないで

『自分にこんなにも良くしてくれる、この人たちは神様に違いない』 と思うのが犬で 『この人たちがこんなにも良くしてくれる、自分は神様に違いない』 と思うのが猫である。 健気で忠実な犬と、図々しく堂々と生きる猫の、それぞれの愛くるしいポイントが、…

要らない子が星になる話

要らない子が星になる話をした。なんて美しい物語でしょうと、トロンとした目で見つめてくる博士は、要らない子になった経験が無いのだと分かったし、外国にいる路上暮らしの幼子は、自分が生きるための必要不必要で精一杯。都会の物言わぬことをモットーと…

永遠の陽炎

あなたに指を差してもらう、陽炎になりたかった夏があったんだ。影を侍らす人が、いるのかいないのかもはっきりしない、概念みたいなものになれるわけないが、その夢はあなたを殺す心配の無い夏にしか抱けなくて。きっともう時効になっちゃったなあ。僕はも…